朝霧の森から
──チーンッ
エレベーターが到着すると、先に乗り込んだ彼が振り返る前に視線を外して私も乗り込む。
動く沈黙の箱。
この時間は嫌い。
自分の背中を見られてるような気になるから。
そんなありえない視線を意識しながら、待つこと数十秒。
壁のデジタルが[4]を表示すると扉が開いた。
私は足早にホールへ飛び出す。
その頭上から、
「おはよう」
「おはようございます……」
横に並んでいつもの挨拶が聞こえてきたかと思うと、あっという間に私を追い抜いて行ってしまったストライプのシャツ。