まっすぐに……
私は白鷹君と距離を置いていたけど、近づき白鷹君の横に座った。

「ねぇ?
桐谷は何で何も話さないの?」

ミツを触っていた白鷹君が急に真剣な顔をして聞いてきた。


「………」

質問に黙る私。


それとともにあの事件が蘇ってくる―――……。


嫌だ……思い出したくない!


私は自分の髪を両手で掴み頭を左右に振った。


「ちょっ桐谷!?
どうしたんだよ!」

突然の私の行動にびっくりしている。

それでも私は頭を激しく左右に振るばかり。


するといきなり身体が温かくなった。

白鷹君が私を抱きしめていた……。

急に心が落ち着き私は頭を振るのをやめた。


「ごめん……。
嫌だったよな?
俺桐谷に嫌な事言ってごめん…」
私の耳に聞こえる白鷹君の優しい声―――。

白鷹君は悪い訳じゃないの。
私が悪いんだよ?

私は白鷹君の胸の中で頭をさっきより凄く小さく振った。


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