これが、最初の手紙です。
拝啓
いつもと同じように帰宅すると、ポストの中には、白い封筒がはいっていた。
大抵ポストの中は空か、何かのチラシが入っているかのどちらかだが、今回は珍しく手紙が入っていた。

そこには、見慣れた私の大好きな字で「早恵へ」と書いてあり、
封筒の裏側には、「晶より」と書かれている。

なんだろ…いきなり。

早恵は、疑問に思いながら取り敢えず家に入ってから、風呂に入り1日の疲れを癒し、冷蔵庫からお茶を取り出してから手紙を開く。

晶と出逢ったのは、8年前だ。
まだ、早恵も晶も「学生」という枠にはまっていたとき。

サークルが同じであっただけで、その他に接点は、ほとんどなかった。早恵の彼への第一印象は、人の良さそうな顔だが印象に残らない。
そんなところだった。

早恵はというと、すごく美人なわけでもなかったが、それなりに誰かに色恋の話題をされることもあった。

晶の名前を耳にするようになったのは、噂が流れ出した頃だった。
「ねぇ、ねぇ!知ってる?サエ!」
お喋りと恋話が大好きな同学年の女子からお節介な言葉が入った。
「サエとサークルが同じ晶くん!サエが好きなんだって!」

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