これが、最初の手紙です。
早恵は「へー」と無難な言葉を返した。女子のマシンガントークはそれからもずっと続いたが、適当に相づちをうっていた。
へー、あの人私のこと好きなのかな。
そんなぐらいの興味だった。
それから、サークルの活動がある時少しだけ目が彼を追いかけるようになった。
周りは気を利かしてるのか、適度に話をふったりはするが、中高生の時のような度を過ぎたお節介をする人は少なかった。
まあ、それは早恵と晶の雰囲気からの影響かもしれないが。

何もなく、過ぎていくものだと思っていたし、いつの間にか噂もあまり耳にしなくなった。



「これいる?」

いつだったか、自動販売機の前ではちあったときだ。
晶が、ミルクコーヒーを差し出したのだ。
驚いた顔をしてミルクコーヒーと、晶の顔を見比べる。

「間違えて押しちゃったんだ。」
「…あ、じゃあ。」

「いただきます。」とミルクコーヒー受けとると、人懐こそうな笑顔を返してきた。

「ありがとう。」

なぜか、感謝された。よくわならないけれど。
あ、この人、そう言えば…

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