これが、最初の手紙です。
『  早恵へ

いきなり、手紙が送られてきてびっくりしたと思います。
何となく、手紙として残したいと思ったからです。
これが、最初で最後の手紙です。』

自分が病におかされて、余命の宣告を受け、
早恵の顔が最初に浮かび、
そのあとに、早恵の両親と自分の両親の顔、友人達の顔が思い浮かんだという。

『早恵に会うたびに、温もりを感じるたびに、俺は生きているんだと思う反面、死ぬのが怖くなりました。

これを言うと、やっぱり甘いと言われそうだけれど、病気が実は誤診で、2人で“なーんだ。”
と笑いあえる。そんな事を夢見ていました。』


それがわかったのが、二ヶ月前でちょうど早恵への両親の挨拶が過ぎた頃だということ、何度か、早恵に打ち明けようとしたことが、綴られていた。


『早恵は、きっとなんだかんだいって、優しいので、俺の面倒を見てくれると言うでしょう。
でも、いつかそんな俺を早恵が、重荷に思う日がきっと来ると思います。
俺自身が、それに堪えられないのです。

身勝手な俺のわがままです。ただの格好つけかもしれません。


君と幸せな未来を思い描くことが出来たこと。
君と出逢えて俺は、幸せでした。
愛しています。

P.S.早恵が末永く幸せでいられることを、いつまでも願っています。



                晶より 』
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