幼なじみは狼クン!?~ドタバタ☆学園地獄~



高校生の男の子は、特に何も口にしないままお兄さんのあとをついていく。


私もそれに従い、2人を追った。




『狭いけどごめんね。後ろに弟と乗ってくれる?』


「いえ気にしないでください。わかりました」



こんな見ず知らずの人間を助けてくれるなんて、何ていい人なのだろうか。


世の中、捨てたもんじゃない。




『ところで名前、聞いてもいいかな。このマンションの人?引っ越して来たのかな?』



お兄さんがエンジンをかけると、車内に洋楽の音楽が流れ始める。


お兄さんの大人な雰囲気によく合った、とってもオシャレなメロディだ。



「はい。私、藍田世玲菜っていいます。このマンションの2階に住んでいる姉にお願いして、一緒に住まわせてもらってるんです」


『世玲菜ちゃんね。ああ、そうだったんだ。2人で暮らしてるの?』


「はい。両親は実家にいますから…」


『へー!偉いね!高校生のうちから親元を離れて生活するなんて』



お兄さんは華麗なハンドルさばきで、何台もの車を追い越していく。


途中、大通りを外れて、小さな道に曲がると、車内のナビに成華第二高校の名前が見えてきた。



すごい!家を出て10分たらずでもう学校の近くまで来れるなんて。



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