幼なじみは狼クン!?~ドタバタ☆学園地獄~
私が先生の美貌に酔いしれていると、私の後ろでモモスケくんとじゃれている圭くんに気が付いた先生が彼の名前を呼んだ。
『高梨くん!もうチャイム鳴るわよ。いつまでも遊んでないで早く教室に行きなさい。あなたもB組でしょ?』
『……』
“も”ってことは、私は圭くんと同じクラスってことでいいのかな?
香織先生に注意された圭くんは、また眠たそうな顔に戻って猫を棚の上に戻した。そのまま近くの階段をのぼっていった。
「圭くん、エレベーター使わないんでしょうか」
『あら。高梨くんとはお知り合い?もしかして一緒に来たのかしら?彼はエレベーターに乗ったときのふわっとした感覚が苦手らしいのよ。だからいつも階段なの』
「へぇ…。あ、知り合いなんかじゃないです。偶然引っ越してきたマンションに彼がいて、今日は圭くんのお兄さんに助けてもらったんですが…」
『ああ、社会人のお兄さんね。そうだったの』
私は香織先生と他愛無い会話を交わしながら目的の教室まで向かった。
教室にぶら下がったプレートには、普1-Bと書いてある。
やっぱり圭くんと同じクラスだったんだ。
『ちょっと待っててね』
香織先生は教室のドアをノックして先に中へ入って行った。
ここに、あの人はいるのかな。
私が実家を離れてまでこの学校を選んだ理由。
それは、15年間、ずっと大好きなあの人がここにいるって、そう聞いたから。