幼なじみは狼クン!?~ドタバタ☆学園地獄~
信じられないのと、何を話せばいいのとで、頭の中が真っ白になる。
私は…。私は、彼を追いかけてここまでやってきた。
千春くんが大好きで、好きで、好きで、本当に大好きだったから、ようやくここまで追いかけてこれたんだ。
なのに、なのに……。
肝心の彼自身が、私のことを覚えていないだなんて。
『あ、つか沙穂。この前の数学のプリント見して』
『…え?あ、うん…』
そして、終わったことのようにあたしの存在をスルーして、沙穂ちゃんにプリントを求める千春くん。
沙穂ちゃんもこの空気に戸惑いを感じつつ、プリントを手渡していた。
『め、珍しいね。あんたがちゃんと課題やろうとするなんて』
『いや、プリント自体なくしたし。書いてあること頭に入れるだけ』
『はっ?その長文問題を?絶対無理でしょ』
『余裕』
私を目で気にしつつも、千春くんとのやり取りを続ける沙穂ちゃん。
私はしばし、呆気にとられたまま、その場に静止していた。