金色・銀色王子さま
あいつの言うとおりだった。
笑いながら“お互い忙しくなるけど頑張ろうね”と言われた通り、開店時間を前倒しにしても同時にお客でいっぱい、お正月近くまで先の予約まで入った。
平日でこの賑わい。
悠太も、ほかの従業員も休みなく働いていた。



「龍之介さん~、彼女と全然デート出来てないんすよ。彼女もお店忙しいみたいで」

「仕方ないだろ、あっちもクリスマスに向けて忙しいらしいし」

「そんなモンなんですねぇ~ネイルサロンってとこは。ネイルなんて別にしなくたって、可愛い子は可愛いんだけどなぁ」




「……そうゆうのってさ、ネイルしてるのが可愛いんじゃなくてさ、努力してる姿が可愛いんじゃないの」



龍之介は拭いたグラスを綺麗に棚に並べた。



「な、なんか龍之介さん…いつにも増して格好良すぎ…今の、軽く4人は惚れてましたよ」


「はいはい。つか悠太、お前早く片付けろよ。彼女のところ行くんだろ」




悠太は龍之介に背中を圧されると相変わらずの無邪気な笑みを見せた。




一通り片付けを終えたのは深夜1時半頃だった。
時間をみるために開いた携帯なのに、連絡をどこかで期待してる自分もいた。
終電はないの分かっていたから、寒いけどバイクで着ていた龍之介は店を出ると疲労のためかご飯も食べずそのまま自宅に直行した。


バイクを走らせて20分。
マンション前らへんで速度を落として、そのうちバイクから降りた。
赤い光を放つパトカーが2台、そして警察官の姿があった。


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