金色・銀色王子さま













扉を開けて、目の前にいたのは白い息を履きながら切羽詰まった顔で立つ片桐だった。



「……はぁ…はぁお前っ…」


「片桐…」


ズキン、と胸が音を立てた
体の痛みより、ずっと敏感に響く


「こんな時間にっ…一人で歩いてんじゃねぇよ!!」


怒ってるの?呆れてるの?
片桐は苦痛の表情で私を見た


「ケガはっ?!」


「えっ?あ、…うん。大したことないよ。転んだときに膝と手、擦りむいたくらいだし…」


「擦りむいたって…」





麻衣の膝は滲んだ血と、少しだけ腫れていた。
何より片桐は、左手の親指の下に大きく付いた擦り傷と、爪に目がいった。
珍しくネイルをしていない、ナチュラルネイルの爪は親指と人差し指の爪が欠けていた。
その視線を感じてか、麻衣は左手をパッと右手で覆う。


「あーこれ、折れちゃったの。明日、ネイル付け替えようと思ってジェルネイル落としたのがマズかったかな…ははっ、痛みはないんだよ?でも折れたのがショック。折角伸ばしてたのになぁ………」


「…………」


「………っ…」



龍之介は痛んだ左手と隠す右手を包むように握るとそのまま引き寄せた。
向かい合って話してただけじゃ分からない、麻衣の体は小刻みに震えていた。





「あんたが無事で良かった…」

「…………っ…」






「…マジで…血の気引いた…」





両手を包む温かさと、寄りかかれる胸に麻衣はそれまで堪えていた涙が止まらなかった。


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