金色・銀色王子さま
麻衣は立ち上がると、龍之介の前に立った。
そしておもむろに手を伸ばすと指先で龍之介の頬に触れた。
それからゆっくり手の平を頬に添える。
ひんやりした温度と肌の感触が手に伝わって、胸がぎゅっと締め付けられた。





すると、龍之介の目つきが少しだけ険しくなる




「なに?こうゆうの嫌だって言ったの、あんただよね」


「そうだった。こうやって触れて…混乱させないでって言ったの私だったのに」





一瞬、どきりとした
片桐の頬に触れたいって思った、だから触れた
指先で触れたら、もっと触れたくなって

どんな温度で、どんな感触で


どんな目で、見つめて……





「片桐に触れたくなっ…て…」


「…………」



龍之介は頬に触れる手に唇を付けた。
そしてまっすぐ見つめる挑発的な視線が、麻衣の心を跳ね上げさせる。






「それってこの前の返事…良いってこと?」


「………」

「迷ってんな?この期に及んで。こんだけ挑発しといて…調子いい女」


「ま、迷ってない…よ…っ…」

意地悪な龍之介の声が唇から指先を伝わって体に熱を帯びていく。
くすぐったくて、痺れるような感覚にめまいがした。




「じゃあ決まり。今日からあんたは俺の彼女ね」


「えっ、あっ!ちょっ…!」



龍之介はひょいと麻衣の体を持ち上げると、奥の部屋に連れて行った。
奥の部屋は今まで扉が閉まっていて分からなかったけど、ベットが一つがあるだけ。


「!!!」



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