金色・銀色王子さま
電話越しじゃどんな表情してたかなんて分からないけど、パッと浮かんだのは照れくさそうに前髪で顔を隠す片桐の顔だった。
いつもの調子でからかおうと思ったけど、やめた。


だって、何かスゴく可愛いと思ってしまったから。







「仕事…頑張ってね」


『…終わったら連絡する』


「うん、待ってる…」


電話を切った後、外から聞こえるバイクのエンジン音。ベランダに出ると片桐がバイクで遠ざかっていく。その背中に、心の中で言い忘れた“いってらっしゃい”を呟いた。



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