金色・銀色王子さま













「龍之介さん、シャンパンこれくらいで足りますかね?もっと発注かけた方がいいっすか?」

「そうだな…予約数だけでこれくらいは出そうだからもうちょい追加してもいいかも。あと、スパークリングも」


龍之介の指示を聞きながら、悠太はメモを取った。
指示をしながら龍之介は感心していた。
今年の始めにお店へアルバイトとして入ってきた悠太は今よりも格段に中身のない、いわばチャラ男だった。
カイトのようなチャラさとは違う、龍之介にとっては一番面倒なタイプだった。
それが今となっては、積極的に業務をこなして龍之介が休みの日は他のスタッフをうまくまとめて、代理のような働きを見せてくれた。

度々、感心して誉めると
「いやぁ、龍之介さんのおかげです。龍之介さんみたいなカッコいい男!がいたからっすよー」

なんてデカい声で言うもんだから、最近は龍之介も言わないようにしてる。
心では心底有り難いと思ってるのだが。



「龍之介さん、あのこないだからやんわりお伝えはしてるんですけど~…」


なにやら言いにくそうな悠太の態度は思い当たる節があった。
龍之介はあ~と思い出した。



「24日だろ?いいよ、早上がりして」

「まじっすか!!」

「イヴは予約客でいっぱいだから、それ以上入ることないだろうし何とか回すよ。…店長と過ごすの?」


「店長じゃないっす、多香子さんですっ。もー名前覚えてくださいよ。大事な俺の彼女さんなんですから」


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