金色・銀色王子さま
【12th room】だって、イヴだから









そして一、、、、、











世はクリスマス・イヴってやつで。
イルミネーションはもちろんのこと、心なしか街が浮かれてるように見える。
でももう大人になれば慣れっこで有り難いことに「仕事だから」という理由のおかげで寂しさを乗り切れていた。

お店に着くとしっかり予約がつまっていた。
でも夕方以降は思いのほか空いている。


「みんな夜はデートなのよ、デート」

「…ってゆう店長も、今日悠太くんに会うんですよね」

「へへ♪うん♡」

もう浮かれ気分の店長に呆れるどころか、可愛くて微笑ましかった。
昨日も遅くまで仕事だったのに、しっかりキレイにネイルが直してあるし。



「ほんと、片桐君には感謝!だって忙しいはずなのに悠太の休みにしてくれたんだもん。自分だって予定あるだろうに」


「いや、予定はないと思いますよ。明日も夜中まで予約いっぱいみたいだし休んでる暇ないって」

「大変っ、年末まで休みなしとか?」

「26日は休み取るって。疲れてるからゆっくり休ませたいって感じだし…」

「…なんか麻衣ちゃん、随分詳しいね。…片桐くんのこと」


頬杖ついた店長が何やら含みのある顔でこっちを見ている。
麻衣は一瞬ひるんだけど…片桐とのことは別に隠すことでもない。



「あの、実は…」


そう口を開いたとき、カランカランと誰かがドアを開ける音が聞こえた。



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