金色・銀色王子さま












街灯が照らすベンチにくっつくように座って、
手を繋ぐ。
温かかったコーヒーはすぐに冷めて、愛おしい時間の終わりを告げてるみたい。


「寒いね…また仕事戻らないと、でしょ?」


「んー…」


眉間に皺を寄せた龍之介の顔が、思いっきり嫌そうに見える。



「…………はぁ~…めんどくせぇ…でも行かないと。こんな日なのにスタッフ少ないし」

「うーん、なんなら私が手伝いに行っても良いけど?」

「あのな。どんくさいヤツはお断りなの」

「…私が鈍くさいってことですか」




龍之介はフッと笑みをこぼすと、立ち上がってヘルメットを麻衣に渡した。



「ウチまで送ってくから」

「えっ、でも電車あるしすぐに行かないとでしょ?」

「心配だから送るんだよ」


「あ、ありがとう…」

「素直でよろしい。はい、乗って」






ずっと



ずっとドキドキしている



バイクの後ろに跨がり、無口な片桐の腰に手を回した。
しっかり筋肉は付いてるのに見た目より細くて内心心配になる。
相変わらず終始からかってくるけど、別れ際に片桐は言った


『クリスマスが終わったら休みだから、あんたも休みなら空けといて』



明日も私たちは仕事だ
クリスマスだというのに、会えないのはちょっと寂しい気もなった。
幸いにもクリスマス空けは休みを取ってある。
私の休みに片桐は合わせてくれたんだけど。




今日はクリスマスイヴ



少しの時間でも会いに来てくれた片桐の優しさにただ胸がいっぱいになった。






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