金色・銀色王子さま
【13th room】
クリスマス
ネイルサロンは午前中から夕方頃まで大忙しで、夜の時間帯になるとピタッと予約が止まっていた。
みんな、夜はそれぞれのクリスマスを過ごすのだ。
手の空いたスタッフが買ってきてくれたケーキと、チキンを頬張りながらワイワイと楽しい時間をすごした。
この時間はすごく楽しいんだけど、
明日はお休みで片桐と会う
それで頭いっぱいで……
「そう言えば!昨日、サロンにめちゃくちゃイケメンが来たんですよ!藤井ちゃん宛に、爽やかやんちゃ系男子が!
人良さそうで素敵だったぁ~カイトって言ってたよね?」
サキの言葉にみんなが食いついて、そして麻衣を見つめる
「あー、うん、カイトは…隣人さん。こないだまで大阪行ってて帰ってきたの。
な、なんでもないですよ?ただの友達…」
「じゃあ本命は夜に颯爽と現れた、バイクの人だ?!」
すかさずナナが無邪気な顔してノってきた
「どうゆうこと?麻衣ちゃん?」
店長がニヤニヤ、肘をついてこちらを見つめる。その瞳は、完全に逃がさない獲物を捕らえた様だ。
「か、…彼氏です…」
そう発した途端、みんなが悲鳴を上げた。
歓喜なのか驚きなのか、女子特有のリアクションかもしれない。
「…もしかして、龍之介くん?」
店長が騒ぐスタッフ達を横目に耳元で囁いた。
麻衣は火照る顔を抑えながら静かに頷く。
「だーと思った」
「店長、知ってたんですか?」
「ふふっ。………女の勘、かしらね♪」
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