金色・銀色王子さま
「あの女の子達、龍之介さん目当てなんですよ」
年下くんはガラスの器に入ったナッツのお通しを置いてくれた。
カウンターの角に座ったから、片桐龍之介を遠くの斜め後ろから見た。
バーテンダーなんだ…。
「かっこいいねー、片桐くん。あんなのに自分だけのカクテル作ってもらえたら最高じゃない」
…まっ私は別に欲しくないけど。何て言いながら、店長の視線はしっかり年下くんへ注がれていた。
あー…早く帰りたい…
薄めに作ってもらったカシスオレンジがやたら甘く感じる。
その時だった。
カウンターの女子達が黄色い声でさらにざわめいた。
「カイト~遅いよ~!待ちくたびれたっ」
「ごめんごめん、仕事長引いてさ~。おっ、飲んでるじゃんみんなー…」
カイト…そう呼ばれた男とがっしり目が合ってしまった。
「あ!!」
「あ!!ま、麻衣ちゃん?!」
不破カイトはすごく驚いてるが、それは同じくだ。
「どうしてここに?あ、てかここで龍ちゃんが働いてるの知ってた感じ?」
「いや、まぁ…」
「びっくりだよ~あ、ここ座っていい?」
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