金色・銀色王子さま
「つーかさ、あんた同い年っしょ?上のおばさんから聞いた」

「は、早い…さすがですね。あの人」

誰が話したわけでもないのに私達のことを知ってる上階のおばさん。


「大家さんだよ、あの人」

「え!そうなの?!じゃあ、私が挨拶したのは旦那さんだったのかな」
へぇ~と深く納得してると、フッと吹き出す笑いが聞こえた。

「あんた、色んな顔するんだな。アンコウだったり、金魚だったり」

「……?!ひっ、人をアンコウだ金魚だって…!ほんと、失礼極まりないですね片桐龍之介。君モテないでしょ…?」


ムッとしてつい出た言葉。
言わずにはいられなかった。だって…



「折角、顔かっこいいのに勿体ないよぉー」

背も高いし、モデルみたい。
なのに冷たいってゆうか、温度を感じさせないってゆうか。
すると隣にいた彼がピタッと足取りを止めた。



「別に…そうゆうの、どうでもいいよ。
俺、恋だの愛だの…まじうんざりだから。あとさ、フルネームで呼ぶのやめて」

「あっ、ちょっと待って…」
追い付こうと歩幅を合わせようとしたけど、さっきより早くて少し後ろを歩くのがいっぱいだった。


まるで、もうこれ以上触れないでって言われてるような気がして、それから私達は一言も交わさないまま家まで歩いた。

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