金色・銀色王子さま
綺麗に掃除機かけたはずの床に散乱するゴミ。
捨てたはずの雑誌がビリビリになって撒き散らされている。

「なにこれ…」

掃除したことさえ疑う。目を擦って頬をつねった。夢じゃない、現実だ。
洗濯物も畳んで積んどいたのに無惨に倒れてる。
とっさに出てきた、"空き巣"の三文字。
いや、空き巣じゃない。だって私、ここで寝てたもん。寝てたのに誰かが侵入したってこと?
"独り暮らしの女性を襲った強盗"
そんな見出しが頭をよぎる。まさか…ね。

「……えっ」
カタッと聞こえた物音。
続いてガタガタッと漁る音が聞こえる。
音の先はお風呂場の方だ。
一気に背筋が凍って心臓がバクバク言ってる。
泥棒とかだったらどうすれば…


ガタガタンッ!!!



「キャーーーーー!!!!」



お風呂場のドアが開いた。足がすくんでベットの上で座り込んだまま動けない。
"こうして27歳独身の女性は無惨にも…"とかニュースで言われちゃうのだろうか。
そんなの嫌だーー!




「助けてっ…誰かー!!」

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