金色・銀色王子さま
【4th room】嘘つく人は嫌いなの
王子様なんていない。
それは立派な大人になって確信持てた。
もし現れたとしても、いつかは去っていく。
お姫様をおいて、なんの罪悪感もなく…
「わぁーもう21時…」
冬に向けてネイルサンプルを作っていたらこんな時間になってしまった。
店長はあの年下君とデートらしく、うきうきで早上がりしてしまった。
うまくいってるんだ、あの二人。
また…置いてかれたな…
「………よし。お腹空いたしどうしよう」
そう思ったときパッと浮かんだbarの存在。
一人でも行きやすい雰囲気だったし、ちょっとだけならいいか…そう思って片桐のbarへ行った。
「え?」
第一声、浴びせられた言葉はいらっしゃいませではなく戸惑いの籠った一文字。
「だ、ダメ?女子が一人で飲みに来るのは」
私だって一人で飲みに行くことに馴れてる訳じゃない。
「いや、ダメじゃないけど…度胸あるなぁと思って」
そう言われて周りを見回すと今日に限ってカップルがつれづれカウンターに座っている。
なんでこんな日に…がっくり肩を落とすけど、片桐は端の席に案内してくれた。
「今日は何となく飲みたかったから…ココなら片桐くんいるし、気にしないっ…」
「くくっ…ちょー気にしてるんだけど」
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