金色・銀色王子さま
目を凝らす私の耳に届く、低い声。


「…邪魔、なんだけど」



邪魔…?
そう言われて自分が入口の前を塞ぎ、お店に入りたい人達の足を止めていることに気付いた。

「ご、ごめんなさい!!」
ぶつかって派手に転んで、買ったばかりのライト割って、あげくこんな注目を浴びるなんて。

顔から火が出そうなくらい恥ずかしくて、浮かれ気分からドン底だ。
調子に乗ってたから神様がイタズラしたんだ。


端に寄って雑貨をまとめる。
涙が出るのを必死に堪えながら俯いて、紙袋に詰めるとふいに視界に手が入った。
その大きくて、でもキレイな指先は無惨に欠けた花びらを拾い目の前に差し出した。


「はい」

「あ、ありがとうございます…」

顔をあげると、目の前にはキレイな金色の髪をした男の人だった。思わず見入ってしまいそうなくらい、端正な顔立ち。

花びらを持ったその人は、異国の王子様のようだった。


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