金色・銀色王子さま
え………?
グイっと引っ張られて、反射的に振り返った。
そして同時に重なる唇と唇。
それは本当に一瞬のことで、パチパチ瞬きして彼を見たときには、唇に微かな感触だけを残していた。
「………これ、飲み代の代わりで」
「え…あっ、あのっ……」
何が何だか分からなくて固まるのをよそに、さっさと鍵を出すと「じゃっ、おやすみ」とアッサリ部屋に入っていった。
━━━━━━━夜風は肌寒いくらい。
だからだろうか…隙にされた"キス"ってだけに酔いが覚めたのは。
あまりにも前触れが無さすぎて、何でこうなったのか振り返ることも出来ない。
そっか。これは何かの間違いだ。
そう思って無理矢理自分を納得させた。
なんだか、独り暮らしを初めてからお酒とうまく付き合えてない気がする…。
しばらくお酒控えよう…ぽつりそう、心で呟いた。
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