金色・銀色王子さま
すっかり秋風。落ちた銀杏の葉がカーペットみたいに黄色く敷かれていて、大分見馴れてきた町並みを颯爽と駆け抜ける。
カイトの背中を見失わないように、ある程度の距離を保ちながら。
見慣れた街から少し外れると静かな住宅街に入ってく。決して長い距離では無いけどまだまだ知らない風景がある。

先を走るカイトはチラリと振り向いては麻衣に目を合わせて少しだけはにかむ。
ちゃんと着いてきてるかってことだけど、その行為が妙にくすぐったくて途中から景色を見るフリして気付かない様にした。



「麻衣ちゃん!あそこ見て!ほら!」

「えっ!?」


ゆっくりスピードを下げて穏やかに流れる小さな川。
太陽の光でキラキラと光っていた。


「わぁ…こんなとこにあるんだ、川…」

細い道を入ったところだから車は通らないし、お家が周りにあるだけ。
二人が自転車を降りて、川辺に降りると聞こえるのは川のせせらぎだけ。


「なんてことない川だけどさ、なんか癒されない?都会にある残された自然の風景ってさ」

「うん…そういえばこうやって川見る機会、ほとんどないなぁ」

「好きなんだよねーこうゆうとこでのんびりするの」


カイトはサッと腰を下ろしたから、麻衣も自然と隣に腰を下ろした。

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