金色・銀色王子さま
ぎゅっ、と握られた大きな手は優しく、だけど力強く私の体ごと上へ引っ張ってくれた。
「あ…」
カイトはポケットに入れていたもう片方の手を出すと、おもむろに麻衣の反対の手も取った。
両手をカイトに差し出してる格好だ。
「あのっ…」
「めっちゃ綺麗…」
「え?」
「麻衣ちゃん、ネイリストだっけ?俺、男だから詳しく分かんないけどスゲェ綺麗だね」
こっくりしたカラーのボルドーフレンチに、薬指にポイントでストーンを散りばめた秋おすすめのデザインだった。
店長にしてもらったいわば宣伝だから、特になんとも思ってなかった。
なのにまじまじと指先を見つめられて、一緒に伝わってくる熱に心臓が高鳴っていく。
「…しっ…仕事だからっ…」
「でも手先綺麗にしてるって女子ぽくて俺は好きだよ」
真顔でサラッというカイトの視線が重なったところで手をサッと引いた。
冷たい風を頬に感じて、火照った熱をごまかす。
「さっ、風邪引かないうちに帰ろう麻衣ちゃん」
「う、うんっ」
カイトの背を前に歩き出す。
この瞬間、次のネイルはどうしよう?って頭がいっぱいになってしまった。
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「あ…」
カイトはポケットに入れていたもう片方の手を出すと、おもむろに麻衣の反対の手も取った。
両手をカイトに差し出してる格好だ。
「あのっ…」
「めっちゃ綺麗…」
「え?」
「麻衣ちゃん、ネイリストだっけ?俺、男だから詳しく分かんないけどスゲェ綺麗だね」
こっくりしたカラーのボルドーフレンチに、薬指にポイントでストーンを散りばめた秋おすすめのデザインだった。
店長にしてもらったいわば宣伝だから、特になんとも思ってなかった。
なのにまじまじと指先を見つめられて、一緒に伝わってくる熱に心臓が高鳴っていく。
「…しっ…仕事だからっ…」
「でも手先綺麗にしてるって女子ぽくて俺は好きだよ」
真顔でサラッというカイトの視線が重なったところで手をサッと引いた。
冷たい風を頬に感じて、火照った熱をごまかす。
「さっ、風邪引かないうちに帰ろう麻衣ちゃん」
「う、うんっ」
カイトの背を前に歩き出す。
この瞬間、次のネイルはどうしよう?って頭がいっぱいになってしまった。
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