金色・銀色王子さま
「へぇ~飲まずにいられるんだ。一時間足らずで5、6杯飲んじゃうような酒豪が」
「……うるさいなぁ~。私は飲みたいときに飲む派なのっ。毎日飲まなくたって平気なんです」
「今うちの店、ハイボール半額なんだよね」
「え!うそ!」
「うそ」
片桐は手を口に当てて、くくくっと笑いを堪えている。
こんな簡単な誘導まんまとひっかかって恥ずかしい。てゆうか、こうやってからかって楽しむのなんて悪趣味だ。
「邪魔するんだったらあっちいってて。掃除、早く終わらせたいの」
私はムッとして、片桐の持ってたゴミ袋を奪うと集めた葉っぱをちりとりにすくって丁寧に捨てた。
「まぁまた飲みに来なよ。酔っぱらったら、俺介抱するし」
「結構です」
「なんで?」
なんでって…聞かれても。
私は思わず口をつぐんだ。キスされたこと以外、きちんと送ってくれたから。
手を止めてると、片桐は近づいて来ておもむろに私のパーカーのポケットに手を突っ込んで携帯をひょいと取り上げた。
「ちょっ!何すんの!」
取り上げた携帯を頭上で勝手にいじりはじめた。手を伸ばしてジャンプしても、高身長の彼が手を上げた先に届くはずがない。
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