金色・銀色王子さま
どこから聞こえた着信音が5秒ほど鳴ると、片桐は携帯を返してくれた。


「何したの?!」

「俺の携帯にかけただけだよ」

勝手に自分の携帯に電話かけて履歴を残したんだ。教え合うより手っ取り早い。
だけど、そう言われると消したくなる。


「教えてって言っても、どうせなんだかんだ理由つけて勿体ぶるんだろ」

「だって教える理由が…」

片桐としっかりと目が合うとその先の言葉を無言で止められたみたいに出なかった。
透き通るようなサラサラの髪から覗く、見下ろす彼の目にいつもと違う違和感…。



「あるよ。俺には、理由が」



じわりじわり、追い詰められた背中に日の当たらないひんやりとした壁が張り付いた。
ほうきを持った手で片桐との距離を取っていたけど、あっさりはね除けられて落ち葉の上にカサッと倒れる乾いた音。


「………っ」
両手で彼の胸板を押すけど効果なし。
端正な顔が近づくほどに心臓が高鳴っていく。


何か言おうと片桐が口を開いたときだった。







「おーい!りゅーちゃーーん!まいちゃーん!」



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