金色・銀色王子さま
ガサゴソと音を立てて、引きずるようにゴミ袋を持ってきたカイト。
とっさに片桐と距離を取った。


「ど、どうしたのそのゴミ…」

「いやぁ裏庭回ったら二羽ニワトリがいてね…」

「…………」

「うそうそ!こんだけ葉っぱ落ちてたんだよね!考えなしに入れてたら結構重くてさ。あー二人ともサボってたな?!」


「ち、違うよ!!カイト、それ運ぶの私手伝うよっ」

いいタイミングで来てくれたカイトにありがとうと心の中で呟く。
だって、だって…今、片桐との空気なんかすごく戸惑ったから。
きっと私、挙動不審だったと思う。
ただ今の空気から逃げたいでいっぱいで、二人のことなんて知るよしもなかった。





掃除を終わらせ予定時間より大幅に遅れて香織と会った。
久しぶりの香織はなんだか痩せた?
カフェで座るなりどうした?と聞くと、香織は大きくため息をついた。



「彼氏」

「え?か、彼氏?」

「彼氏と別れた。2週間で。」

「はやっ!」

「いつかは結婚したいと思って付き合ったのに…本気で好きじゃなかったって」

香織はティースプーンをくるくるカップの中をかき混ぜながらぽつり言った。


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