金色・銀色王子さま
「はぁー?!」
相変わらずこんなことを表情変えず言う片桐。
人が群がる水槽前で私の一言は結構響くらしく何人か注目してきた。
片桐は、麻衣の腕を掴むとそこから離れた大きな柱の裏に引っ張る。
そこへ着くなり掴まれた腕を振りほどいた。
だけど片桐はそれを許してくれなくて、さらに強く掴んで離さない。
「こっ…こないだから何なの?!チクチク、チクチクっ!」
「…………」
「どうせ私はアンコウですよ!魚顔ですよ?!だからってひどいし!」
「……そういう意味じゃねぇし」
「だったら何なのよ!」
恥ずかしさと悔しさがいっぱいで。
そうして柱に寄りかかる片桐の胸をポカポカ叩いているとアッサリその腕を取られた。
「そんな可愛い顔、あいつのために向けてんのがすげームカつく」
え………?
えっと…えっと…え…?
薄暗い、人混みから離れた場所。
近くのざわつきから埋もれることなく、麻衣の耳に届く片桐の言葉。
「か、からかうのやめてよ…そうゆうの…」
「からかってねぇよ」
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