金色・銀色王子さま
「ごめん。変なこと言った。気にしないで」
片桐はそう言った。
その言葉通り、そのあと何事もなかったかのようにしていた。
そんなこと言われたって…言いかけた言葉の先が何だったのか余計に気になる結末で。
よっぽど帰り道聞こうと思ったけど、二人とも仕事に行ってしまって聞けなかった。
「………?」
職場の休憩室で麻衣の携帯が鳴った。
短めの、きっとメールの予感。お客さんが来るまで少しの時間、スティックパンをくわえながら開くとカイトからだった。
【昨日はありがとうね!また行こうね☆】
短くて、当たり障りのないメール。
盛り上げ役なのに、すごく気を使える人。
暖かくて優しいなと思うのは勘違いなのだろうか。
今すぐ返信しようか迷っていると、ふいに肩を叩かれた。
「なになに?彼氏?」
「か、彼氏なんて!そんなわけないじゃないですか…」
店長はふふんと鼻をならすが、目は完全に信じていない。店長はあの年下君とうまくいったようで、ちょこちょこノロケてくる。
それが面倒だったり…ちょっと、羨ましかったり。
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