金色・銀色王子さま
「でもなんか顔が嬉しそうだけどなぁ~。恋する女は顔に出やすいから」


「えっ!出てます??」

知らずに店長の誘導尋問くらったみたい。
ニヤリすると、麻衣にくっついてきた。


「…隠すな、素直になりなさい!誰?誰なの??」

「す、好きとか!そんなんじゃ…な、ないです。ただ、一緒に居て楽しいし、いいなって思ってるだけで…」

「なんだ~、じゃあ好きだって核心持つのも時間の問題ね!」

店長は満足そうに置いていた春雨スープをすする。恋する女は、何をしていても幸せそうに見えるのは気のせい?


「でも…」




心に引っ掛かる、片桐の言葉達。


「い、いや、何でもないです」
片桐の表情とか言葉がやけに頭に残る。冗談だって思うことにしてるけど、引っ掛かるのはきっと本気が入ってるから。
パンを頬張ると、ぽつり店長が話し出した。


「まぁさ、もうこの歳だし。ちゃんと見極めたいよね、色んな事。相手の気持ちとか、自分の気持ちとかさ」


くるくるフォークに巻き付く春雨をほどいてはまたくるくる回す。


「私も、まさか年下の男の子好きになるなんて思わなかった。そうゆうものなんだね」




店長を見て思った。
恋する女は幸せに見えるのは気のせいじゃない。

幸せ、なんだ。


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