金色・銀色王子さま
「え~っ龍之介くん好きな人いるの??どんな人~?!」


頬をふくらませながら香織はさらに突っ込む。
そんな状況をどうにかしたかったのに、口を挟もうとした寸前でクラッカーが喉に詰まった。



「ごほっ…ごほっ」
むせながら片桐に視線を向けると、冷めた視線が返ってくる。


ほらね、これだから片桐は私のこと何とも…




「こうゆう、おっちょこちょいでアホで色気ゼロだけど真っ直ぐなヤツですよ」



片桐はそう言うと軽く会釈して、さっきから黄色い声で呼び出しする女子達の方へ去っていった。
それがあまりにも自然で、素直に受け止めそうになったけど…


「こうゆう…って?どうゆうこと??」
香織はきょとんとしながら片桐の言葉を復唱して、麻衣を見る。


「さ、さぁ?!訳わかんない、冗談てゆうか、適当に言ったんだよ片桐は!」

「そ、そうなの?」

「そーだよ!香織か酔ってるから、適当に言っただけだって!あいつが私のこと好きな訳ないでしょー」


「だよね~!だって、だって…麻衣、だもんねぇ~!」

「ははっ…香織、それはどうゆう意味?」


香織はひとしきり笑うと、最後の一杯でカシスオレンジを頼んだ。甘くて飲みやすいカクテル。
残っていたクラッカーとはどうも合わない気がしたが、これでいい!と言いきかなかった。





片桐が私を好き…?



まさか、、、、ね。


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