金色・銀色王子さま
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約束のサイクリング日は、生憎の曇り空。
いつか行ったときはすごく快晴で、気持ち良い風が吹いていたのに。
「雨降りそうだけど、早めに帰ればなんとかなるっしょ」
カイトは厚手のマフラーをくるくる巻いて、黒縁メガネをかけていた。それがいつもと感じが違って、妙に可愛かった。
私も今日は頑張って一応…それなりにお洒落した。
ボルドーのニットワンピにヒールなしのブーツ。
髪の毛はかるく編んで一つに纏めトップにボリュームをつけた。
新しく買った自分の自転車と、カイトの自転車を並べて停めた。
「あれ?麻衣ちゃん、なんかいつもと違くない?」
カイトはお構いなしに顔を近付けてきた。
「えっ、えっと…リップ変えたからかな?ちょっと赤めの」
「いいじゃん、こっちの方が♪」
カイトはいつだってそう。否定しないで、女の子が喜ぶ返事を返してくれる。
その度に照れくさい気持ちをグッとこらえるのだ。
「あっ、カイトお腹空いてない?」
「え?うわっ!どうしたのこれ」
麻衣は朝作ってきたサンドイッチを広げた。
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