金色・銀色王子さま
タマゴに、ツナに、ハムとトマト。
「サイクリングといえば、って感じでしょ?作ってきたの、良かったら食べて」
その言葉の後に、分かりやすくカイトのお腹の音が鳴って思わず麻衣は吹いてしまった。
珍しくカイトは笑うなよーと顔を真っ赤にして、サンドイッチを手に取った。
楽しくて、穏やかで優しい時間。
もっと続いたらいいのにって思ったけど、そんな時間も天気予報には勝てなかった。
怪しい雲が頭上に広がって雲を覆ってく。
そしてー…
「カイト、さっきから電話ずっと光ってるけど…出なくて良いの?」
カイトは麻衣と話してる間もポケットからチラッと見てはしまうを繰り返していた。
パーカーのポケットから透けるイルミネーションにさすがに麻衣は声を掛けたけど、それでもカイトは5秒ほど見つめると、またそっとしまう。
「…雲行き怪しいからそろそろ帰ろうか」
「あ…うん、そうだね」
頬にぽつりと当たる雨粒に逃げるように自転車を走らせた。
雨足が早くて逃げきれそうもないけど。
彼の背中を追いかけながら、雨雲と同じグレーの瞳に不安を抱いた。
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「サイクリングといえば、って感じでしょ?作ってきたの、良かったら食べて」
その言葉の後に、分かりやすくカイトのお腹の音が鳴って思わず麻衣は吹いてしまった。
珍しくカイトは笑うなよーと顔を真っ赤にして、サンドイッチを手に取った。
楽しくて、穏やかで優しい時間。
もっと続いたらいいのにって思ったけど、そんな時間も天気予報には勝てなかった。
怪しい雲が頭上に広がって雲を覆ってく。
そしてー…
「カイト、さっきから電話ずっと光ってるけど…出なくて良いの?」
カイトは麻衣と話してる間もポケットからチラッと見てはしまうを繰り返していた。
パーカーのポケットから透けるイルミネーションにさすがに麻衣は声を掛けたけど、それでもカイトは5秒ほど見つめると、またそっとしまう。
「…雲行き怪しいからそろそろ帰ろうか」
「あ…うん、そうだね」
頬にぽつりと当たる雨粒に逃げるように自転車を走らせた。
雨足が早くて逃げきれそうもないけど。
彼の背中を追いかけながら、雨雲と同じグレーの瞳に不安を抱いた。
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