金色・銀色王子さま
「やべぇー!!風邪引くー!!」
「寒いー!!やだー!!」
二人はあわてて自転車を止めた。
自転車置き場には屋根がないからひたすら濡れていく体。もう髪の毛からは滴がポタポタ。
いきなりこんな降るなんて、少しだけ予報は読みが甘かったようだ。
とりあえず玄関に入ったところで麻衣はハンドタオルをカイトに渡した。
苦笑しながらお互い軽く拭きはらう。
「あともうちょっと遅かったらもっとびしょびしょだったね」
そう言ってカイトを見ると、メガネが滴で何も見えなくなってるし曇ってる。それを全く気にしてないのか、見えてないのにズレたメガネを指でなおす。
「ははっ、ちょっカイト!メガネ曇ってるよ?」
「えー?あー」
あやふやな返事を返されたから余計可笑しくて、麻衣はカイトのメガネを外してあげた。
「もう、笑わせないで…」
顔を上げるとうっかりバチッと目があった。それが余りにも近い距離だったから心臓が跳ね上がりそうなった。
麻衣はすぐに逸らしたけど、火照る顔は隠しきれない。
「ご、ごめん…」
「あのさ、麻衣ちゃん」
「…………?」
「麻衣ちゃん、もしかして俺のこと好き?」
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