金色・銀色王子さま
「俺さ、あんたには悪いけど…今すげーチャンスだと思ってる」

「…………」

「あいつのことばっか気にしやがって 」
俯く私の頬にそっと手が添えられて思わずドキッとする。ひんやりとした、包むような大きな手。
目の前には避けようにも避けられない、片桐の顔。



「全部あんたがいけないんだよ。あんたが、調子狂わせる」


なぞるように頬から首筋に手が落ちて、肩にかかる髪を払いのける。
こんなときに片桐の表情に見とれてしまうなんて…


「片桐っ…ち、近いよっ…風邪うつるからっ…」


「イヤだったら…思いっきり殴れ」


「えっ?なっ…んっ…」






イヤだったら…、
その一言から息も出来ないくらい唇を重ねていく。
はむようなキス。自力じゃ立っていられなくなる体を、腰に回された腕が支える。

「…んっ…かたっ…やっ…」
言葉とは裏腹な痺れるような甘くて深いキスに、体は何も言うことが聞かなかった。
“やめて”その言葉を何度も頭で繰り返しては、唇が離れた隙に声に出したいのに。

片桐はやめてくれない。
ほんとに意地悪で掴めない人。




でも、


カイトのことを気にかけながら
こんなことをしている自分は


もっと、分からないーー……



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