好きなんて、言えるかよ。
「助けたら悪いかよ」



やっと言葉が聞こえて来た彼に

揺さぶる手を止めて顔をみる。


高村はまだ目をつぶっているけれど、


「あんま騒ぐなよ」

私に向かったそう言った。


「ねぇ、怪我は?痛い?

意識はしっかりしてる?」


目を覚ました彼に少し安心しながらも、

まだまだ不安がいっぱいで、質問責めにする。


「別に、平気」


しかし、そう言いながら一向に起き上がってこない高村の手を見た瞬間


ーっ!

私は息をのんだ。



< 111 / 327 >

この作品をシェア

pagetop