好きなんて、言えるかよ。
屋上を出て階段を勢いよく降りていると
ドンー!
誰かにぶつかる。
「あ、ごめんなさ……」
そうやって謝ろうとした時、口をつぐんだ。
「ごめん大丈夫?
怪我してない?仁菜」
誠くんだ……。
あの時みたいに優しい表情をしている。
また、ドキドキと反応する心臓。
すると、ポケットの中から
家のカギが出てしまったのか、私のカギが誠くんと私の間に落ちていた。
とっさに拾おうと手を伸ばすと、誠くんも一緒に手を伸ばす。