好きなんて、言えるかよ。
すると、高村は遠くを見つめて
「いいぜ、じゃあ教えてやる」
そう言った。
どこかを見つめる目は切な気で少し、寂しそうにも見えた。
「俺の家は、母親がいない。
離婚して親父と2人で暮らしてる」
そっか……。
高村がお弁当を持ってこないでいつも買っているのも
それが原因かもしれない。
「で、俺の親父の仕事は転勤が多い。
不安定なんだ。
いつまた転校するか分からない」
えっ……。
確かに転校が多いと思った。