好きなんて、言えるかよ。
「…………。」
何を言ったらいいか分からない。
安易に変なことを言うと
取り返しのつかないような気さえした。
「俺、昨日彼女と別れたんだ
全部言い訳みたいに聞こえるかもしれないけど
もう1回仁菜と付き合いたい」
ああ、やっぱり誠くんは今
とんでもない事を言ってる。
「彼氏はいるって分かってる
だから……
俺に対して、少しでも前みたいな気持ちがあるなら
考えてほしい」
それだけを言って、私の前から去ってしまった誠くん。