好きなんて、言えるかよ。


「やめねぇの?」

俺がそう聞くと


「もう引き受けちゃったから、やめない」

俺の方に振り向こうともせず

黒板拭きを続けた。


あっそ。

じゃあ一人でやってれば。

せっかく教えてやったのに、

バカな女。


そう思いながら教室から出ようとしたが……


「ちっ、」


アイツの一人黙々と黒板を拭いている背中を

見捨てることができなかった。


だから嫌なんだよ。


「貸せよ。」


そう言って、沢村の持っていた雑巾を取り上げる。


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