好きなんて、言えるかよ。

「俺がやる。」


そう言ってやると、アイツは


「いいって……!」

と雑巾と取り返そうとして来た。


まったく、コイツは人に頼る事も知らねぇのかよ



「時間ねぇんだろ?

早く行けよ」


俺は沢村の顔を見ずに構わず、黒板を拭き出すと


「ありがとう」

あいつは柔らかい表情で笑った。


ドキー。


別に、ドキドキなんかしていない。


ただ、あのお人よし女が意外にも可愛く笑うから

驚いただけだ。
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