好きなんて、言えるかよ。
しかし、そんな気持ちとは反対に
俺は沢村を盗みみる時間が多くなっていった。
また、頼まれてやがる。
あ、今度はちゃんと断った。
気付いたら、沢村を目で追っている自分がいて
何やってんだよ、俺……。
自分に呆れた。
沢村と話すことはしなかったものの
そうやって気にかけていた時
9月の遠足の前に、
俺は親父からある事を言われた。
「転勤が決まった。」
「は……?」
親父は俺が小学6年の時に職を変えた。
転勤が多い職だとは聞かされていたが
急にそんな事を言われるとやっぱり戸惑った。