好きなんて、言えるかよ。


「ちょ、井上!!」

突然私たちの前に現れた井上くんは

話を全部聞いていたみたいで


「だって、簡単に言えばそうだろ?」


口を尖らせながらそんな事を言ってきた。


「あんたって本当デリカシーがないんだからっ!」


「だってよ〜そうじゃんか。


沢村の場合

昔、高村が好きだったとか

元カレが忘れられないとか

色んな複雑な感情があったから

意識しずらかったのかもしれないけど、

そういうのが一気に解けたら

この感情は当たり前のものとして出てくるんじゃないの?」


珍しく、井上くんが真剣な表情で言う。


私はその顔を見て、うつむくと



< 231 / 327 >

この作品をシェア

pagetop