好きなんて、言えるかよ。


そう言って、私の頭を撫でて

去って行こうとする。


やっぱり、勝手じゃんか

人の気持ちも聞かないで

そんな言葉だけ残して去って行こうとするんだから


離れて行こうとする

高村の腕をぎゅっ、と掴む。


振り返った高村に


「あたしだって……っ

好きなんだから」


目に涙をいっぱい溜めながら伝えると


「は……?」

高村にはそう返された。


「私だって、好きなんだから!!

自分だけだって思わない……」


私がそこまで言った瞬間


ぎゅーー

私は高村の温もりに包まれた。


< 241 / 327 >

この作品をシェア

pagetop