好きなんて、言えるかよ。
中途半端に入って行った私は人と人にぶつかって、つぶされた。
も、もう無理……!
あちらこちらをぶつけながら、やっとのことで言えた言葉は
「チョコパンを……下さい」
絞り出るような小さな声だった。
手にチョコパンが置かれ、お金を渡す。
群れの中から出て来た頃にはどっと疲れがやってきた。
こんな事が毎日続くなんて、絶対いや。
パンを買うだけなのに疲れ果てて、
しかも今度は高村の所に戻らなきゃいけない。