好きなんて、言えるかよ。
そして、いつものように家まで送ってくれて
別れ際になった時
彼は私の手をぎゅっ、と握ってきた。
それは、彼も同じ夢を見たかのように。
行かないでって言ってるみたい。
「やっぱり変だよ」
「そ?そんな気にすんなよ」
そしたら彼は私のことをぐいっと引き寄せて
顔を近付けた。
ああ、キスされる……
その仕草にそっと目をつぶったのに……
ポンポンー
降ってきたのはキスではなくて
頭を撫でる手だった。