好きなんて、言えるかよ。
「ふ……っえく」
声を上げて泣く仁菜をぎゅっと抱きしめる。
何で俺、コイツのこと
一人にさせてんだろう。
離れて寂しいのは俺だけじゃないのに
簡単に忘れられるわけなんてないのに
なんで、別れようなんて言ったんだろう
「俺さ、友達や好きなやつと離れるのが
すっげぇ怖えーの。
だから、自分の気持ち誤魔化して
無かったことにしようとしたんだけど
そんなのは違うよな……っ
井上にも言われたんだ
メールや電話も出来るのに、何怖がってるんだって
俺はただ、転校がトラウマになってただけなんだよな……」
俺の胸の中で泣く仁菜をあやすように頭をなでる。