好きなんて、言えるかよ。


ビクリと体が反応して


「何それ、妬いてんの?」


そんな言葉が耳元に降ってくる。

妬いてるなんて、あり得ない。
どうしたらそんな考えになるのよ


「そんなわけないでしょっ!」


私が動揺しながらも、言うと

彼はやたら低い声で


「じゃあ、何。反抗?」


と、聞いてきた。


高村の声は色気があるから嫌いだった。

耳に流れこむ。

近ければ近いほどくすぐったい。

そんな声で


「いいの?みんなに言っちゃうよ?」


彼の脅し文句を言うんだ。


だけど、ここで戸惑ってちゃダメ。

いつもしっかり言わないから

利用されるんだ。


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