浮気男よ、散れ
廊下を走っていても、とめどなく涙は流れる。
いつも歩いて居る廊下がぼやけて、人にぶつかっては
『ごめんなさい』
と謝る。
何回目の『ごめんなさい』を発した時だっただろうか?
ぐっと後ろから覆いかぶさる身体に、足を止めさせられた。
私の肩には頭が乗って、
お腹から腰には手が伸びて来ていて、
背中は大きな温もりに包み込まれた。
「香山…」
私を後ろから抱きしめて止めたのは三神君だった。