浮気男よ、散れ
「好き」
三神君がそのままの体制で言う。
廊下を歩いて居た生徒たちは突然の事にビックリして、
立ち止まってざわついている。
それはそうだろう。
あの三神君だもの。
「あの、み―」
「香山の事が好き」
「あ…えっと」
「もうあんな事しない。女子を寄せ付けない。香山だけ見てる」
「あああの」
「浮気男なんて言わせないくらい一途な面を見せたい」
「うえ!?」
「これからは香山と一緒にいるから、俺の心を見て好きになって」
「はい!?」
「お願いだから…好きになって…」
それは、今までの彼からは想像できないくらい弱弱しい声に、
切実な願い。
「ちょっと!とりあえず離そうか!うん!」
私はもぞもぞしながら叫んだ。